ヤエヤマヒメボタル@西表島 2025
2025年3月20日~22日、西表島でヤエヤマヒメボタル(学名:Luciola filiformis yayeyamana)の撮影に挑戦。
3月20日は、ホタルは殆ど飛んでいませんでした…汗
しかし残りの2日間は、ホタルが山の斜面一面で光っていて、林道まで出てきて乱舞する大爆発!
写真だけでなく、リアルタイム動画にも挑戦しました。
※ヤエヤマヒメボタルの学名と和名について調べてみたので、興味のある人はブログの後半を読んで下さい。

3月21日は、前日のホタルが不発だったので、今年はダメかもと諦めていました。
しかし、諦めずに別のポイントに挑戦して良かった。
撮影条件は、2024年のヤエヤマヒメボタルの設定を参考にしました。
撮影には、2台のカメラを使用。
静止画の設定:
・カメラ:SONY α7C、SONY α7C II
・レンズ:TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2、TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD
・焦点距離:28mm、17mm
・シャッタースピード:20秒
・絞り:F2.8
・ISO:8000
・フォーカスモード:マニュアルフォーカス


3月23日は、西表島トレッキングツアーガイド島廻遊の長澤さんに案内してもらいました。
長澤さんには、西表島の縦断、ユツンの滝などのツアーでお世話になっています。

下の写真とブログの一番上の写真は、周りが暗くなってからカメラの位置を変えたので、綺麗な背景画像を用意できなかったのが残念…
ホタルが林道にここまで沢山出て来るのは予想していませんでした。

このポイントでは、リアルタイム動画にも挑戦。
動画は、このブログの上の方にあります。
背景が真っ暗になる前までの5分間を、YouTubeにアップしました。
長時間露光の写真と違って、動画は実際に見た感じに近いですね。
真っ暗になってからは、まるで宇宙を見ているようでした。
動画の設定:
・カメラ:SONY α7C
・レンズ:28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
・焦点距離:28mm
・シャッタースピード:1/8秒
・絞り:F2.8
・ISO:25600
・フォーカスモード:マニュアルフォーカス
今年もヤエヤマヒメボタルを楽しめて、西表島に感謝です。
翌日の帰りの飛行機(石垣島~那覇)からの眺め。

石垣島

池間島と八重干瀬

ケラマ諸島
以下は、興味のある人へ:
ヤエヤマヒメボタルを調べる際に問題となるのが、学名と和名の混乱。
そこで、学名と和名について少し調べました。
※私は昆虫分類学の専門家ではありませんので、最終的な判断はご自身でお願いします。
1. 学名「Luciola yayeyamana」と「L. filiformis yayeyamana」について。
1918(大正7)年、松村松年は、参考資料(1)で、学名「L. yayeyamana」を発表しました。
1971(昭和46)年、中條道夫と佐藤正孝が、参考資料(2)中のpp.14-15「12. Family Lampyridae M. Chujo and M. Sato」で、L. yayeyamanaを、L. filiformisの亜種へランク変更(stat. nov.)して、「L. filiformis yayeyamana」としました。
その後1981(昭和56)年に、中根猛彦が、参考資料(3)で独立種として扱いました。
現在、研究者グループによって、L. yayeyamana(独立種)とL. filiformis yayeyamana(亜種)のどちらで扱うか分かれています。
2. 和名「ヤエヤマボタル(八重山蛍)」と「ヤエヤマヒメボタル(八重山姫蛍)」について。
松村松年は、1918(大正7)年の上記の参考資料(1)で、学名と共に和名「八重山蛍」を発表しました。
L. yayeyamanaのタイプ標本について、参考資料(4)の川島逸郎の論文に詳しい記述があります。
北海道大学総合博物館の昆虫コレクション(SEHU)で保管されているタイプ標本(holo type)のラベルには、「ヤエヤマヒメボタル」と記述されているそうです。
1912(明治45)年に採集されたタイプ標本の採集者はラベルからは不明ですが、SEHUの資料によると岩崎卓爾だそうです。
※石垣島測候所の所長だった岩崎卓爾は、昆虫の採集家としても有名で、札幌農学校(北海道帝国大学)昆虫学教室の松村松年に標本を度々送っていました。
岩崎卓爾は、参考資料(5)で「石垣島地方 四月初旬より蛍発生し、八重山姫蛍魁となり、姫蛍中堅となる、…(略)…理学博士松村松年先生の御検定を得て茲に掲ぐ Luciola yayeyamansis mats.(原文ママ)ヤエヤマヒメホタル…」と記述しています。
学名の命名者の松村松年はヤエヤマボタル(八重山蛍)、タイプ標本の採集者の岩崎卓爾はヤエヤマヒメボタル(八重山姫蛍)を使用していました。
現在、研究者グループによって、ヤエヤマボタル(八重山蛍)とヤエヤマヒメボタル(八重山姫蛍)のどちらを使うかが分かれています。
纏めると、自分が調べた限りでは1981年以降、学名「L. yayeyamana」を使う人達は和名「ヤエヤマボタル」、学名「L. filiformis yayeyamana」を使う人達は和名「ヤエヤマヒメボタル」を使っていて、学名および和名の統一は行われていないようです。
特に、和名には命名規約が無いので、コンセンサスを得るのが難しいようですね。
このブログでは、『日本昆虫分類学会会報』で発表された参考資料(6)の日本産ホタルのチェックリストを参考にして、学名「L. filiformis yayeyamana」、和名「ヤエヤマヒメボタル」を採用しました。
今後、日本昆虫学会が順次刊行している『日本昆虫目録』でホタル科が発表された際には、それに従おうと思います。
※近年、ホタルの分類の再検討が、盛んに行われています。
例えばHotaria属は、1937(昭和12)年の湯浅啓温の参考文献(7)で、Luciola属のヒメボタルをタイプ種としてLuciola属から新属として独立しました。
しかし、参考資料(6)でHotaria属がLuciola属に再び統合された為、ヒメボタルの学名はL. parvulaからH. parvulaに変わり、またL. parvulaに戻りました。
参考資料:
(1)『教育画報 6』(同文館 1918.2)pp.82-89「日本の蛍」(松村松年)
(2)『香川大学教育学部研究報告 第II部 第201-206号』(香川大学 1971.9)pp.1-55「Coleoptera of the Loo-choo Archipelago (III)」(Michio Chujo)
(3)『ホタルの観察と飼育』(中根猛彦・大場信義 著 ニュー・サイエンス社 1981.3)pp.81-113「日本にいるホタルの種類」(中根猛彦)
(4)『日本昆虫分類学会会報 25(2)』(日本昆虫分類学会 2019.12)pp.229-240「Redescription of Adults of Luciola filiformis yayeyamana Matsumura (Coleoptera, Lampyridae, Luciolinae) from the Yaeyama Islands, SW. Ryukyus, Japan」(Itsuro Kawashima)
(5) 『ひるぎの一葉』(糸数原主人 編著 岩崎卓爾 1920)p.126
※糸数原主人は、岩崎卓爾の雅号です。
(6)『日本昆虫分類学会会報 9(2)』(日本昆虫分類学会 2003.11)pp.241-261「A Check-list of Japanese fireflies (Coleoptera, Lampyridae and Rhagophthalmidae)」(Itsuro Kawashima, Hirobumi Suzuki & Masataka Sato)
(7)『昆蟲 11(1-2)』(東京昆蟲學會 1937.2)pp.107-109「Description of a new genus of the family Lampyridae (Coleoptera)」(Hiroharu Yuasa)
3月20日は、ホタルは殆ど飛んでいませんでした…汗
しかし残りの2日間は、ホタルが山の斜面一面で光っていて、林道まで出てきて乱舞する大爆発!
写真だけでなく、リアルタイム動画にも挑戦しました。
※ヤエヤマヒメボタルの学名と和名について調べてみたので、興味のある人はブログの後半を読んで下さい。

3月21日は、前日のホタルが不発だったので、今年はダメかもと諦めていました。
しかし、諦めずに別のポイントに挑戦して良かった。
撮影条件は、2024年のヤエヤマヒメボタルの設定を参考にしました。
撮影には、2台のカメラを使用。
静止画の設定:
・カメラ:SONY α7C、SONY α7C II
・レンズ:TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2、TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD
・焦点距離:28mm、17mm
・シャッタースピード:20秒
・絞り:F2.8
・ISO:8000
・フォーカスモード:マニュアルフォーカス


3月23日は、西表島トレッキングツアーガイド島廻遊の長澤さんに案内してもらいました。
長澤さんには、西表島の縦断、ユツンの滝などのツアーでお世話になっています。

下の写真とブログの一番上の写真は、周りが暗くなってからカメラの位置を変えたので、綺麗な背景画像を用意できなかったのが残念…
ホタルが林道にここまで沢山出て来るのは予想していませんでした。

このポイントでは、リアルタイム動画にも挑戦。
動画は、このブログの上の方にあります。
背景が真っ暗になる前までの5分間を、YouTubeにアップしました。
長時間露光の写真と違って、動画は実際に見た感じに近いですね。
真っ暗になってからは、まるで宇宙を見ているようでした。
動画の設定:
・カメラ:SONY α7C
・レンズ:28-75mm F/2.8 Di III VXD G2
・焦点距離:28mm
・シャッタースピード:1/8秒
・絞り:F2.8
・ISO:25600
・フォーカスモード:マニュアルフォーカス
今年もヤエヤマヒメボタルを楽しめて、西表島に感謝です。
翌日の帰りの飛行機(石垣島~那覇)からの眺め。

石垣島

池間島と八重干瀬

ケラマ諸島
以下は、興味のある人へ:
ヤエヤマヒメボタルを調べる際に問題となるのが、学名と和名の混乱。
そこで、学名と和名について少し調べました。
※私は昆虫分類学の専門家ではありませんので、最終的な判断はご自身でお願いします。
1. 学名「Luciola yayeyamana」と「L. filiformis yayeyamana」について。
1918(大正7)年、松村松年は、参考資料(1)で、学名「L. yayeyamana」を発表しました。
1971(昭和46)年、中條道夫と佐藤正孝が、参考資料(2)中のpp.14-15「12. Family Lampyridae M. Chujo and M. Sato」で、L. yayeyamanaを、L. filiformisの亜種へランク変更(stat. nov.)して、「L. filiformis yayeyamana」としました。
その後1981(昭和56)年に、中根猛彦が、参考資料(3)で独立種として扱いました。
現在、研究者グループによって、L. yayeyamana(独立種)とL. filiformis yayeyamana(亜種)のどちらで扱うか分かれています。
2. 和名「ヤエヤマボタル(八重山蛍)」と「ヤエヤマヒメボタル(八重山姫蛍)」について。
松村松年は、1918(大正7)年の上記の参考資料(1)で、学名と共に和名「八重山蛍」を発表しました。
L. yayeyamanaのタイプ標本について、参考資料(4)の川島逸郎の論文に詳しい記述があります。
北海道大学総合博物館の昆虫コレクション(SEHU)で保管されているタイプ標本(holo type)のラベルには、「ヤエヤマヒメボタル」と記述されているそうです。
1912(明治45)年に採集されたタイプ標本の採集者はラベルからは不明ですが、SEHUの資料によると岩崎卓爾だそうです。
※石垣島測候所の所長だった岩崎卓爾は、昆虫の採集家としても有名で、札幌農学校(北海道帝国大学)昆虫学教室の松村松年に標本を度々送っていました。
岩崎卓爾は、参考資料(5)で「石垣島地方 四月初旬より蛍発生し、八重山姫蛍魁となり、姫蛍中堅となる、…(略)…理学博士松村松年先生の御検定を得て茲に掲ぐ Luciola yayeyamansis mats.(原文ママ)ヤエヤマヒメホタル…」と記述しています。
学名の命名者の松村松年はヤエヤマボタル(八重山蛍)、タイプ標本の採集者の岩崎卓爾はヤエヤマヒメボタル(八重山姫蛍)を使用していました。
現在、研究者グループによって、ヤエヤマボタル(八重山蛍)とヤエヤマヒメボタル(八重山姫蛍)のどちらを使うかが分かれています。
纏めると、自分が調べた限りでは1981年以降、学名「L. yayeyamana」を使う人達は和名「ヤエヤマボタル」、学名「L. filiformis yayeyamana」を使う人達は和名「ヤエヤマヒメボタル」を使っていて、学名および和名の統一は行われていないようです。
特に、和名には命名規約が無いので、コンセンサスを得るのが難しいようですね。
このブログでは、『日本昆虫分類学会会報』で発表された参考資料(6)の日本産ホタルのチェックリストを参考にして、学名「L. filiformis yayeyamana」、和名「ヤエヤマヒメボタル」を採用しました。
今後、日本昆虫学会が順次刊行している『日本昆虫目録』でホタル科が発表された際には、それに従おうと思います。
※近年、ホタルの分類の再検討が、盛んに行われています。
例えばHotaria属は、1937(昭和12)年の湯浅啓温の参考文献(7)で、Luciola属のヒメボタルをタイプ種としてLuciola属から新属として独立しました。
しかし、参考資料(6)でHotaria属がLuciola属に再び統合された為、ヒメボタルの学名はL. parvulaからH. parvulaに変わり、またL. parvulaに戻りました。
参考資料:
(1)『教育画報 6』(同文館 1918.2)pp.82-89「日本の蛍」(松村松年)
(2)『香川大学教育学部研究報告 第II部 第201-206号』(香川大学 1971.9)pp.1-55「Coleoptera of the Loo-choo Archipelago (III)」(Michio Chujo)
(3)『ホタルの観察と飼育』(中根猛彦・大場信義 著 ニュー・サイエンス社 1981.3)pp.81-113「日本にいるホタルの種類」(中根猛彦)
(4)『日本昆虫分類学会会報 25(2)』(日本昆虫分類学会 2019.12)pp.229-240「Redescription of Adults of Luciola filiformis yayeyamana Matsumura (Coleoptera, Lampyridae, Luciolinae) from the Yaeyama Islands, SW. Ryukyus, Japan」(Itsuro Kawashima)
(5) 『ひるぎの一葉』(糸数原主人 編著 岩崎卓爾 1920)p.126
※糸数原主人は、岩崎卓爾の雅号です。
(6)『日本昆虫分類学会会報 9(2)』(日本昆虫分類学会 2003.11)pp.241-261「A Check-list of Japanese fireflies (Coleoptera, Lampyridae and Rhagophthalmidae)」(Itsuro Kawashima, Hirobumi Suzuki & Masataka Sato)
(7)『昆蟲 11(1-2)』(東京昆蟲學會 1937.2)pp.107-109「Description of a new genus of the family Lampyridae (Coleoptera)」(Hiroharu Yuasa)
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