2023年11月29日、竹富島の種子取祭(奉納芸能2日目、中筋村)が開催されました。
前日の晩に「世乞い」に参加したので、早朝の「世乞い留め」から見学。
2日目も琉球舞踊や狂言、組踊など多彩な民俗芸能を堪能できて大満足でした。

畑屋の願い@竹富島の種子取祭

午前6時から根原屋で「世乞い留め」が行われました。
※見学する人も白いサジ(手拭い)が必要です。
満月の下、世乞い歌が良い雰囲気でした。

世乞い留め@竹富島の種子取祭

午前7時前、道歌を歌いながら世持御嶽へ。

竹富島の種子取祭

世持御嶽前で、巻歌を歌いながらグルグル廻ります。
下の写真で、右奥にあるのが世持御嶽です。

巻歌@竹富島の種子取祭

ガーリが始まりました。

ガーリ@竹富島の種子取祭

世持御嶽で、前日戴いたイバン(九年母)の葉を返す「イバン返上」を見学。
これで、世乞いが全て終了しました。
「ムイムイの願い」が行われた後、中筋村の「シドゥリャニ」が舞台で奉納されました。
午後の奉納芸能でも「シドゥリャニ」がありますが、ここでは儀式の「シドゥリャニ」なので髭などの着付けはしません。
※「シドゥリャニ」は、千鳥群れのことで、「浜で千鳥が群れるように、人も寄り集まろう」という意味です。

シドゥリャニ@竹富島の種子取祭

シドゥリャニ@竹富島の種子取祭

シドゥリャニ@竹富島の種子取祭

午前8時半頃、前日と同じように、世持御嶽の前の舞台で「乾鯛の儀式」が始まりました。
乾鯛(かんたい)は、歓待の意味のようです。

乾鯛の儀式@竹富島の種子取祭

午前9時頃、神司の行列が、玻座間村西集落の主事宅へ参詣に出発。
道歌を歌いながら進みます。
※観光客も後ろに付いて行くことが出来ます。

玻座間村西集落主事宅へ参詣@竹富島の種子取祭

玻座間村西集落主事宅へ参詣@竹富島の種子取祭

玻座間村西集落の主事宅で、巻歌を歌いながらグルグル廻ってからガーリ。

玻座間村西集落主事宅へ参詣@竹富島の種子取祭

玻座間村西集落主事宅へ参詣@竹富島の種子取祭

観光客は参詣の儀式に参加できないので、世持御嶽に戻って一休み。
午前10時半過ぎ、神司の行列が、中筋村主事宅から世持御嶽に戻って来ました。

神司の行列@竹富島の種子取祭

迎えの女性達と一緒になって、巻歌を歌いながらグルグル廻ります。

巻歌@竹富島の種子取祭

男女の二手に分かれて、ガーリ。

ガーリ@竹富島の種子取祭

午前11時半頃、庭の芸能が始まりました。
庭の芸能は、前日と同じ内容でした。
まず、棒術、イリク太鼓、馬乗者の演者が庭を走り抜けて、「魔払い」をします。

魔払い@竹富島の種子取祭

棒に参加する全員による一斉棒。

一斉棒@竹富島の種子取祭

個別の棒の演技では、前日と同じように鎌の演者の動きが良くて、多くの拍手を貰っていました。

棒@竹富島の種子取祭


「イリク太鼓」。

イリク太鼓@竹富島の種子取祭

「マミドー」。
マミドーは、マー(真)ミードー(女)のことで、働き者の女性という意味です。
元々はユンタ(古謡の一種で、作業歌のこと)や子守歌だったのを、歌詞やテンポの変更、振り付けによって奉納舞踊にしたものです。

マミドー@竹富島の種子取祭

マミドー@竹富島の種子取祭

「ジッチュ」。
ジッチュは、十人という意味です。
人頭税に苦しみながらも、十人の子供を育て上げた百姓の夫婦がいました。
模範的な行いによって、国王に拝謁することになった喜びの踊りです。
※ジッチュは、「シチュ」という掛け声からという説もあります。

ジッチュ@竹富島の種子取祭

「真栄(マサカイ)」。
真栄は、1701年に玻座間村で生まれた人物です。
竹富島から西表島の仲間村に開拓の為に移住しました。
鍬を使って、開墾している様子なのかな?

真栄@竹富島の種子取祭

「祝い種子取」。

祝い種子取@竹富島の種子取祭

「腕棒(ウディボー)」は、昔は男性が行っていたそうで、腕と腕を絡ませて力比べをします。

腕棒@竹富島の種子取祭

「馬乗者」は、京太郎(チョンダラー)系統の芸能で、馬に乗って飛び跳ねる仕草の踊りです。
京太郎は、中世の京都から伝わった門付芸能が元になったと考えられています。
宜野座村の豊年祭で見た馬舞者と同じように、馬の首を腰に付けていますね。
※踊りは、竹富島の馬乗者と宜野座村の馬舞者とで、全く違います。

馬乗者@竹富島の種子取祭


午前12時半頃、舞台での奉納芸能が始まりました。
まずは、「ホンジャー」。
ホンジャーは、芸能の統括責任者のこと。
中筋村のホンジャーは中筋家(生盛家)の当主が代々行っています。
豊作の祈願をした後、村の役人に芸能の上演許可を戴いて、子や孫たちに芸能を披露しなさいと言って退場します。
沖縄本島での、「長者の大主」に当たるのかな?

ホンジャー@竹富島の種子取祭

ホンジャー@竹富島の種子取祭

弥勒は、沖縄のニライカナイ信仰と混ざり合って、海の彼方から五穀豊穣をもたらす神(来訪神)と考えられています。
竹富島の弥勒は、仲道家の先祖が弥勒の仮面を海岸で拾ったのが始まりだそうです。
仮面は与那国家、さらに大山家に譲られて、現在は弥勒奉安殿に保管されています。

弥勒@竹富島の種子取祭

弥勒でのシーザ踊り。

弥勒のシーザ踊り@竹富島の種子取祭

弥勒@竹富島の種子取祭

狂言「シドゥリャニ」。
「シドゥリャニ」は、千鳥群れのことで、「浜で千鳥が群れるように、人も寄り集まろう(豊年祭に参加しよう)」という意味です。
中筋村の奉納で必ず演じられる呪狂言3番の一つです。
※呪狂言は、農耕に関係する儀礼的な狂言のこと。

シドゥリャニ@竹富島の種子取祭

シドゥリャニ@竹富島の種子取祭

シドゥリャニ@竹富島の種子取祭

舞踊「かぎやで風」。
座開きの舞踊として定番です。
若衆の着付け(髪飾りなど)が、沖縄本島と違って可愛いですね。
多良間島の豊年祭でも、若衆の着付けが可愛かったので、離島は面白い。

かぎやで風@竹富島の種子取祭

かぎやで風@竹富島の種子取祭

舞踊「揚作田節」。
沖縄本島と八重山では、歌詞が違うみたいなので、調べてみたいですね。
二才踊の「ゼイ」に似てるけど、曲の構成が違いますよね。

揚作田節@竹富島の種子取祭

揚作田節@竹富島の種子取祭

狂言「天人(アマンチ)」。
中筋村の奉納で必ず演じられる呪狂言3番の一つです。
天人は、琉球神話のアマミキヨのことで、稲作を始めた神様です。
天人が、粟や麦などの種子を持って現れました。

天人@竹富島の種子取祭

村の長老が、作物の種子を天人を戴いて、作物の育て方を教わります。

天人@竹富島の種子取祭

若者が、畑仕事を始めました。

天人@竹富島の種子取祭

舞踊「たのりゃー」。
タノリャーは、タニ(種子)・トゥリャー(取る者)で、粟の種子蒔きの様子を舞踊化したものです。
種子取祭の舞台で踊るために作られた踊りです。

たのりゃー@竹富島の種子取祭

たのりゃー@竹富島の種子取祭

狂言「種子蒔」。
中筋村の奉納で必ず演じられる呪狂言3番の一つです。
世持(村の責任者)が、若者からガイジル(種子を入れる籠)を受け取ります。

種子蒔@竹富島の種子取祭

世持が種子を蒔くと、若者がヘラで土に埋めます。

種子蒔@竹富島の種子取祭

退場する時、「控えー。控えー。」と叫ぶちびっ子が可愛かったです。

種子蒔@竹富島の種子取祭

舞踊「蔵ぬぱな節」。
古典女踊の動きで優雅ですね。
尚穆王の時代、海岸から蔵元(首里王府の出張所のような役場)への道に対し、歌を献上するように命じられました。
八重山ではこの曲を献上したので、献上節とも呼ばれています。

蔵ぬぱな節@竹富島の種子取祭

蔵ぬぱな節@竹富島の種子取祭

舞踊「竹富節」。
雑踊「貫花」の前段の「竹富節」と歌詞が違いますね。
八重山民謡は奥深いです。汗
「たのりゃー」と同じように、種子取祭のために作られた踊りです。

竹富節@竹富島の種子取祭

竹富節@竹富島の種子取祭

組踊「父子忠臣」。
闇討ちされた糸数の按司の家臣・山城の比屋たちが、束辺名の按司に仇討ちする物語です。
糸数の若按司を背負った山城の比屋の立ち回りが見所の一つ。

父子忠臣@竹富島の種子取祭

父子忠臣@竹富島の種子取祭

束辺名の按司 VS 山城の比屋。
地方の組踊は、掛け声や笑い声が多くて、楽しいですね。

父子忠臣@竹富島の種子取祭


舞踊「世果報花節」。

世果報花@竹富島の種子取祭

世果報花@竹富島の種子取祭

舞踊「かたみ節」。
かたみは、男女の契りで、百歳になっても心は一つ。

かたみ節@竹富島の種子取祭

かたみ節@竹富島の種子取祭

狂言「畑屋の願い」。
この狂言は、明治期に竹富島に伝わったとされ、「花売の縁」の猿引が登場する場面から作られたと考えられています。
主とアヤーの夫婦が、畑小屋で種子取の願いをした際に、猿引に出会って、猿の踊りを見る物語です。

畑屋の願い@竹富島の種子取祭

畑屋の願い@竹富島の種子取祭

畑屋の願い@竹富島の種子取祭


舞踊「うりずんの詩」。
八重山の唄者・仲宗根長さんによる作詞作曲の民謡です。

うりずんの詩@竹富島の種子取祭

うりずんの詩@竹富島の種子取祭

舞踊「扇子舞」。
扇子を持って踊る部分を撮るのを忘れてました。汗

扇子舞@竹富島の種子取祭

扇子舞@竹富島の種子取祭

「する掬い」。
スルは、スルル(キビナゴ)のこと。
竹富島の女性2人と石垣島の男性のやり取りが面白いですね。

する掬い@竹富島の種子取祭

する掬い@竹富島の種子取祭

「たこ取り」。

たこ取り@竹富島の種子取祭

たこ取り@竹富島の種子取祭

舞踊「サングルロ」。
サングルロの解釈には、諸説あります。
中筋村のハニヤーの祭事で踊られていた説によると、フィン(蜀黍)という穀物の踊り。
サニ(種子)がグルロ(転がる様子)する意味のようです。

サングルロ@竹富島の種子取祭

サングルロ@竹富島の種子取祭

狂言「鬼捕り」。
この狂言は、沖縄本島の芸能で、西表島の古見から竹富島に伝わりました。
沖縄本島の本部山に住む人食い鬼の夫婦を、福仲親雲上、本村里主、佐久間里主が退治する物語です。
また、福仲親雲上たちは、兄を鬼に攫われた兄弟を助けます。

鬼捕り@竹富島の種子取祭

鬼捕り@竹富島の種子取祭


今年は、夜間のフェリーの臨時便(竹富島~石垣島)が無かったので、鬼捕りを最後まで観れなかった人もいたようです。
種子取祭は、奉納芸能の前日から竹富島に宿泊して、2日間の奉納芸能の翌日に石垣島に戻るのがお勧めですね。

竹富島の種子取祭(奉納芸能2日目、中筋村)の地図
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