首里城公園「新春の宴 2023」
2023年1月2日と3日、首里城公園「新春の宴」で行われた御座楽、琉球舞踊(11演目)を見学。
舞台となった木造赤瓦の系図座・用物座は、良い雰囲気でした。
まずは、系図座・用物座で、御座楽(うざがく)の演奏。
御座楽は、琉球国の宮廷音楽で、中国からの冊法使の接待や、江戸上りの際に将軍などに披露されました。
中国由来の楽器で、中国の曲を歌うので異国情緒があります。
御座楽を演奏した琉球王朝禮楽研究会の記念撮影。
皆さん、良い笑顔ですね。
続いて、琉球伝統芸能デザイン研究室による唄三線「かぎやで風節」です。
正月の「かぎやで風節」では、琉歌が新年用に替わっています。
「新玉ぬ年に 炭とぅ昆布飾てぃ 心から姿 若くなゆさ」
以降、琉球伝統芸能デザイン研究室による琉球舞踊を紹介します。
まずは、琉球国だった時代に作られた古典舞踊で、老人踊「かぎやで風」です。
祝儀舞踊として、座開きに踊られる定番ですね。
「かぎやで風」の語源として、尚円王を助けて国頭按司となった奥間部落の「鍛冶屋(カンジャー)」、能楽の「延命冠者」が知られています。
立方を変えて、2回上演されました。
同じく古典舞踊で、女七踊の一つ「本貫花」。
貫花は、文字通り貫いた花で、小道具の花の房の事です。
金武節、白瀬走川節ともに、歌詞に桜が出てくるので、貫花は桜の花輪なのかな?
この踊りは「貫花」と呼ばれていましたが、明治時代に玉城盛重がこの演目を元に振り付けた雑踊「貫花」が広く知られるようになり、新旧を区別するために本家の方が「本貫花」と改名しました。
雑踊の「貫花」も、このブログの後半にあるので比べて見てください。
古典女踊の2つ目、「稲まづん」です。
五穀の実りを象徴する稲穂を持って、豊作を予祝します。
前段の稲まづん節は、尚清王の時代までは御前風の一番歌で、昔御前風節とも呼ばれました。
稲まづん節、早作田節ともに御めでたい歌詞なので、祝儀舞踊として良く踊られます。
古典女踊の3つ目、女七踊の一つ「かせかけ」です。
かせかけ(綛掛)は、機織りで綛にした糸をかける道具のこと。
干瀬節、七尺節の歌詞から分かるように、上等な織物を恋人に作ってあげたいと思う女性を表わした踊りです。
古典女踊の4つ目、「四つ竹」です。
本来は4人で踊りますが、舞台によって少なくなったり、大人数の群舞になったりします。
踊りこはでさ節で歌われているように、四つ竹を打ち鳴らしながら踊る祝儀舞踊です。
歴史のある踊りで、徐葆光の『中山伝信録』(1721年)にも「拍舞」として記述されています。
現在の振り付けは、明治時代末に玉城盛重によると云われています。
次は、同じく古典舞踊で、二才踊「ゼイ」です。
二才(ニーセー)は、男性の若者という意味。
ゼイ(麾)は、武将が軍の采配を振る時の小道具の事で、沖縄では場を清める意味がありました。
「ゼイ」には二才踊と若衆踊がありますが、小道具のゼイの色が異なります。
二才踊では白と黒ですが、若衆踊では赤、白、青、練です。
二才踊の2つ目、「上り口説」です。
琉球の役人が薩摩藩に出張する際の道行(首里観音堂~山川港)が歌われています。
歌詞は首里観音堂から始まり、途中の難所・七島渡や硫黄島、桜島などが出てきて面白いですね。
似た踊りで、薩摩から帰ってくる時の「下り口説」がありますが、小道具が異なります。
「上り口説」では扇子で、「下り口説」では杖です。
次からは、琉球国が日本に取り込まれた明治~大正期に作られた雑踊。
昭和以降のは、創作舞踊というのかな?
古典舞踊は王族や士族を対象にしていたのでテンポが遅いですが、雑踊は一般民衆の為の踊りで軽快でリズミカルになっています。
雑踊の1つ目は、「加那ヨー天川」です。
恋仲の男女の若者の様子を描いた、人気の演目。
元は芝居小屋の幕間に一人で踊られていましたが、伊良波尹吉によって大正6年頃に男女の打組踊になりました。
雑踊の2つ目は、「鳩間節」です。
鳩間節の踊りは、元々は鳩間島の結願祭でのユッタリした踊り「鳩間中岡」でした。
沖縄本島で伊良波尹吉によって早弾きの軽快な踊りに変わり、人気の演目になりました。
立方を変えて、2回上演されました。
雑踊の3つ目は、「貫花」です。
明治時代に沖縄芝居から生まれた踊りで、玉城盛重によって振り付けられました。
「貫花小」とも呼ばれて、人気の演目でした。
ブログ前半の古典女踊「本貫花」と比べたら面白いかな。
雑踊の4つ目は、「むんじゅる」です。
中踊の「むんじゅる節」は、粟国島の島歌です。
玉城盛重が振り付けを行い、仲毛芝居で踊られて人気を博しました。
玉城盛重は、御冠船踊の後継者として、古典舞踊の正しい継承に尽力しましたが、雑踊の振り付けも行っていたのは意外ですね。
今年も、琉球舞踊を堪能出来て、感謝です。
これからも、「新春の宴」を続けて欲しいですね。
地図をGoogleマップで表示
舞台となった木造赤瓦の系図座・用物座は、良い雰囲気でした。
まずは、系図座・用物座で、御座楽(うざがく)の演奏。
御座楽は、琉球国の宮廷音楽で、中国からの冊法使の接待や、江戸上りの際に将軍などに披露されました。
中国由来の楽器で、中国の曲を歌うので異国情緒があります。
御座楽を演奏した琉球王朝禮楽研究会の記念撮影。
皆さん、良い笑顔ですね。
続いて、琉球伝統芸能デザイン研究室による唄三線「かぎやで風節」です。
正月の「かぎやで風節」では、琉歌が新年用に替わっています。
「新玉ぬ年に 炭とぅ昆布飾てぃ 心から姿 若くなゆさ」
以降、琉球伝統芸能デザイン研究室による琉球舞踊を紹介します。
まずは、琉球国だった時代に作られた古典舞踊で、老人踊「かぎやで風」です。
祝儀舞踊として、座開きに踊られる定番ですね。
「かぎやで風」の語源として、尚円王を助けて国頭按司となった奥間部落の「鍛冶屋(カンジャー)」、能楽の「延命冠者」が知られています。
立方を変えて、2回上演されました。
同じく古典舞踊で、女七踊の一つ「本貫花」。
貫花は、文字通り貫いた花で、小道具の花の房の事です。
金武節、白瀬走川節ともに、歌詞に桜が出てくるので、貫花は桜の花輪なのかな?
この踊りは「貫花」と呼ばれていましたが、明治時代に玉城盛重がこの演目を元に振り付けた雑踊「貫花」が広く知られるようになり、新旧を区別するために本家の方が「本貫花」と改名しました。
雑踊の「貫花」も、このブログの後半にあるので比べて見てください。
古典女踊の2つ目、「稲まづん」です。
五穀の実りを象徴する稲穂を持って、豊作を予祝します。
前段の稲まづん節は、尚清王の時代までは御前風の一番歌で、昔御前風節とも呼ばれました。
稲まづん節、早作田節ともに御めでたい歌詞なので、祝儀舞踊として良く踊られます。
古典女踊の3つ目、女七踊の一つ「かせかけ」です。
かせかけ(綛掛)は、機織りで綛にした糸をかける道具のこと。
干瀬節、七尺節の歌詞から分かるように、上等な織物を恋人に作ってあげたいと思う女性を表わした踊りです。
古典女踊の4つ目、「四つ竹」です。
本来は4人で踊りますが、舞台によって少なくなったり、大人数の群舞になったりします。
踊りこはでさ節で歌われているように、四つ竹を打ち鳴らしながら踊る祝儀舞踊です。
歴史のある踊りで、徐葆光の『中山伝信録』(1721年)にも「拍舞」として記述されています。
現在の振り付けは、明治時代末に玉城盛重によると云われています。
次は、同じく古典舞踊で、二才踊「ゼイ」です。
二才(ニーセー)は、男性の若者という意味。
ゼイ(麾)は、武将が軍の采配を振る時の小道具の事で、沖縄では場を清める意味がありました。
「ゼイ」には二才踊と若衆踊がありますが、小道具のゼイの色が異なります。
二才踊では白と黒ですが、若衆踊では赤、白、青、練です。
二才踊の2つ目、「上り口説」です。
琉球の役人が薩摩藩に出張する際の道行(首里観音堂~山川港)が歌われています。
歌詞は首里観音堂から始まり、途中の難所・七島渡や硫黄島、桜島などが出てきて面白いですね。
似た踊りで、薩摩から帰ってくる時の「下り口説」がありますが、小道具が異なります。
「上り口説」では扇子で、「下り口説」では杖です。
次からは、琉球国が日本に取り込まれた明治~大正期に作られた雑踊。
昭和以降のは、創作舞踊というのかな?
古典舞踊は王族や士族を対象にしていたのでテンポが遅いですが、雑踊は一般民衆の為の踊りで軽快でリズミカルになっています。
雑踊の1つ目は、「加那ヨー天川」です。
恋仲の男女の若者の様子を描いた、人気の演目。
元は芝居小屋の幕間に一人で踊られていましたが、伊良波尹吉によって大正6年頃に男女の打組踊になりました。
雑踊の2つ目は、「鳩間節」です。
鳩間節の踊りは、元々は鳩間島の結願祭でのユッタリした踊り「鳩間中岡」でした。
沖縄本島で伊良波尹吉によって早弾きの軽快な踊りに変わり、人気の演目になりました。
立方を変えて、2回上演されました。
雑踊の3つ目は、「貫花」です。
明治時代に沖縄芝居から生まれた踊りで、玉城盛重によって振り付けられました。
「貫花小」とも呼ばれて、人気の演目でした。
ブログ前半の古典女踊「本貫花」と比べたら面白いかな。
雑踊の4つ目は、「むんじゅる」です。
中踊の「むんじゅる節」は、粟国島の島歌です。
玉城盛重が振り付けを行い、仲毛芝居で踊られて人気を博しました。
玉城盛重は、御冠船踊の後継者として、古典舞踊の正しい継承に尽力しましたが、雑踊の振り付けも行っていたのは意外ですね。
今年も、琉球舞踊を堪能出来て、感謝です。
これからも、「新春の宴」を続けて欲しいですね。
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