2022年11月19-20日、読谷村渡慶次公民館で「とけしまつり」が開催されました。
「とけしまつり」は通常5年毎ですが、コロナの影響で7年目ぶり。
19日にのみ、組踊「大川敵討」が上演され、獅子舞と共に見学して来ました。
公民館横の野外舞台で、暗闇の中で上演された組踊は良い雰囲気でした。
「大川敵討」は2時間以上の大作ですが、立方や地謡も全て渡慶次の人達なのが凄いですね。

組踊「大川敵討」@第38回とけしまつり(読谷村渡慶次)

午後6時から獅子舞が始まりますが、少し早めに渡慶次公民館に到着。
組踊の関係者の集合写真に立ち会えました。

組踊の集合写真@第38回とけしまつり(読谷村渡慶次)

定時に獅子舞の演舞で、場が清められました。
渡慶次の獅子舞は、1750年頃に始まったと考えられています。
沖縄戦で獅子頭が焼失しましたが、1950年に山内昌賢により復活。
戦後1代目の獅子の胴の毛は、米軍払い下げのロープを利用したそうです。
1966年には、戦後2代目の獅子頭が玉城松により制作されました。

読谷村渡慶次の獅子舞@第38回とけしまつり

読谷村渡慶次の獅子舞@第38回とけしまつり

読谷村渡慶次の獅子舞@第38回とけしまつり


渡慶次では、戦前から組踊「大川敵討」(別名:忠孝婦人、村原)が継承されています。
沖縄戦で台本が焼失しますが、1956年に新垣喜英、福地蔡良、呉屋正八によって復元されました。
※読谷村は組踊の盛んな地域で、儀間の「八重瀬」、宇座の「久志の若按司」、瀬名波の「伏山敵討」など。
昔はアシビトゥイケー(芸能交流会)で、近隣の字と組踊で交流をしていたのが影響しているようです。

まず、「大川の按司」の臣下「村原の比屋」により、これまでの経緯が語られます。
「谷茶の按司」は、人望の厚い「大川の按司」を滅ぼし、「大川の若按司」を人質にします。
この物語では、谷茶を倒し、若按司を救出するのが目的です。

村原の比屋@組踊「大川敵討」

大川城から、村原の母親と妻子(乙樽と乙松)が逃げ延びます。

大川城から逃げる村原の母親と妻子(乙樽と乙松)@組踊「大川敵討」

しかし女子供3人で逃げ続けるのは大変で、乙樽は泣く泣く我が子・乙松を置き去りにします。

大川城から逃げる村原の母親と妻子(乙樽と乙松)@組踊「大川敵討」

我が子・乙松を置き去りにする乙樽@組踊「大川敵討」

偶然通りかかった村原が、赤子を助けます。

赤子を助ける村原@組踊「大川敵討」

村原は母と妻・乙樽と再会し、お互いの無事を喜びます。

再会を喜ぶ村原と乙樽達@組踊「大川敵討」

乙樽は、単身で谷茶城(元の大川城)に向かい、捕らわれた若按司を助け出すことに。
正に、忠孝婦人ですね。

谷茶城に単身で向かう乙樽@組踊「大川敵討」

若按司の乳母と偽った乙樽は、谷茶の家臣「満納の子」達の尋問に合います。
家臣達と乙樽の舌戦は、「糺の場」として人気の場面です。

糺の場@組踊「大川敵討」

谷茶は乙樽に篭絡されて、乙樽の本心を見抜いた満納を切り捨ててしまいます。

満納を切り捨てる谷茶@組踊「大川敵討」

谷茶は、乙樽に団扇を渡して、踊ることを命じます。

乙樽に団扇を渡す谷茶@組踊「大川敵討」

谷茶は、乙樽が正面を向いて踊っている間、恥ずかしくて目を逸らします。

乙樽から目を逸らす谷茶@組踊「大川敵討」

下の動画は、「糺の場」と乙樽が踊る場面です。
少しは、会場の雰囲気が伝わるかな?


村原は、物売りに身をやつしながらも、仇討の機会を伺います。

物売りに身をやつした村原@組踊「大川敵討」

村原は、泊(間の者)と会い、乙樽からの伝言を聞きます。

泊(間の者)@組踊「大川敵討」

大川の家臣で討ち死にした原国の息子兄弟(松千代と金兼)が登場。

原国兄弟(松千代と金兼)@組踊「大川敵討」

仲間を集めた村原は、谷茶を討つ手配り(采配)をします。

谷茶を討つ采配をする村原@組踊「大川敵討」

乙樽が、若按司を谷茶城から助け出します。

若按司を助け出す乙樽@組踊「大川敵討」

乙樽は、旧家臣・「喜瀬の大屋子」から薙刀を受け取ります。

喜瀬から薙刀を受け取る乙樽@組踊「大川敵討」

仇討に向かう乙樽達。

仇討に向かう乙樽達@組踊「大川敵討」

村原達と谷茶達との立ち回りです。

村原達と谷茶達との立ち回り@組踊「大川敵討」

村原達と谷茶達との立ち回り@組踊「大川敵討」

原国兄弟と谷茶の戦い。

原国兄弟と谷茶の戦い@組踊「大川敵討」

原国兄弟と谷茶の戦い@組踊「大川敵討」

大川の仇討が成功し、城も取り戻しました。

大川の仇討が成功@組踊「大川敵討」

終わり「ヒヤー、ユイ!」

仇討後の退場@組踊「大川敵討」

組踊の上演後は、立方や地謡の人達の自己紹介がありました。

組踊「大川敵討」@第38回とけしまつり(読谷村渡慶次)

コロナの影響で2年も延期されましたが、途切れずに組踊を上演してくれた渡慶次の人達に感謝ですね。

獅子舞・組踊「大川敵討」@第38回とけしまつり(読谷村渡慶次)の地図
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