2022年元旦に、首里城公園「新春の宴」で行われた御座楽、旗頭、琉球舞踊などを見学。
木造赤瓦の系図座・用物座での、琉球舞踊と地謡の生演奏は良い感じでした。

まずは、系図座・用物座で御座楽(うざがく)の見学。
御座楽は、琉球国の宮廷音楽で、中国からの冊法使の接待や、江戸上りの際に将軍などに披露されました。
中国由来の楽器で、中国の曲を歌うので異国情緒があります。

御座楽@首里城公園「新春の宴2022」

下の動画は、御座楽の最初に演奏された曲「太平歌」です。


下の写真の青い旗は、虎旗(羽の生えた猫のように見えますが虎です。笑)。
江戸上りなどの琉球人行列で、路地楽と共に金皷旗や虎旗も行進しました。

御座楽@首里城公園「新春の宴2022」

虎旗@首里城公園「新春の宴2022」

首里杜館芝生広場に移動して、首里当蔵町青年会による旗頭を見学。

旗頭(首里当蔵町青年会)@首里城公園「新春の宴2022」

旗頭(首里当蔵町青年会)@首里城公園「新春の宴2022」

首里の旗頭は夜旗で、夜でも見えるように衣装が白色、また旗頭の上にある灯篭に灯りが入ります。
下の動画で、首里当蔵町青年会が旗の説明をしていて勉強になるので、是非聞いてみて下さい。


午後は、系図座・用物座で、「琉球芸能の宴」を鑑賞。
日替わりで出演団体が変わりますが、元旦は沖縄県立芸術大学の学生でした。
まずは、座開きの唄三線で、「かぎやで風節(新年の歌)」。
正月の「かぎやで風節」では、琉歌が新年用に替わっています。
「新玉ぬ年に 炭とぅ昆布飾てぃ 心から姿 若くなゆさ」

かぎやで風節(新年の歌)@首里城公園「新春の宴2022」


続いて、古典舞踊・女踊「四つ竹」。
花笠を被って、四つ竹(楽器)を鳴らしながら踊る祝儀舞踊です。
この演目は、徐葆光の『中山伝信録』(1721年)に「拍舞」として記載される程、古くから踊られています。
しかし、現在の振り付けは、明治時代に玉城盛重によると云われています。

琉球舞踊「四つ竹」@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「四つ竹」@首里城公園「新春の宴2022」


古典舞踊・二才踊「上り口説」。
二才(ニーセー)は、年齢では無くて、男性の若者という意味ですよ。笑
琉球の役人が薩摩藩に出張する際の道行(首里観音堂から薩摩藩の山川港)が歌われています。
歌詞は首里観音堂から始まり、桜島で終わります。
途中の難所の七島渡、また硫黄島など知っている地名が歌われていて面白いです。

琉球舞踊「上り口説」@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「上り口説」@首里城公園「新春の宴2022」


古典舞踊・女踊「本貫花」。
貫花は、花を糸で貫くことで、小道具の花の房の事です。
この演目は、元々は「貫花」と呼ばれていました。
しかし、明治時代に玉城盛重がこの演目を元に振り付けた雑踊「貫花」が広く知られるようになり、新旧を区別するために本家の方が「本貫花」と改名しました。

琉球舞踊「本貫花」@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「本貫花」@首里城公園「新春の宴2022」


「琉球芸能の宴」の後半は、再び唄三線で、「松竹梅」。
雑踊「松竹梅」も、是非踊って欲しかったですね。
雑踊「松竹梅」は、明治の頃に仲毛芝居の役者・玉城盛重が歌舞伎にならって松竹梅の振付けをしたのが始まりです。
豊年祭では一番人気の定番で、自分も好きな演目だったのに…

続いて、古典舞踊・老人踊「かぎやで風」。
祝儀舞踊で、よく披露宴などで踊られてますね。
「かぎやで風(カジャディフウ)」の語源として、尚円王を助けて国頭按司となった奥間部落の「鍛冶屋(カンジャー)」、また能楽の「延命冠者(エンメイ カンジャ)」が知られています。

琉球舞踊「かぎやで風」@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「かぎやで風」@首里城公園「新春の宴2022」


古典舞踊・二才踊「上り口説」。
前半でも紹介したので、説明は省略。

琉球舞踊「上り口説」@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「上り口説」@首里城公園「新春の宴2022」


最後の演目は、古典舞踊・女踊「稲まづん」。
五穀の実りを象徴する稲穂を持って、今年の豊作を予祝します。
前段の稲まづん節は、尚清王の時代までは御前風の一番歌で、「昔御前風節」とも呼ばれました。
立方が男性版と女性版の両方があって、面白かったです。
現在は主に女性が琉球舞踊を担っていますが、琉球国の時代には女踊も男性が踊っていたんですよね。

琉球舞踊「稲まづん」(1組目)@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「稲まづん」(1組目)@首里城公園「新春の宴2022」


こちらは、立方が女性の「稲まづん」。

琉球舞踊「稲まづん」(2組目)@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「稲まづん」(2組目)@首里城公園「新春の宴2022」


新年から満足な一日でした。
今年も、良い年になりますように。

追加:
1月3日にも、少しだけ首里城公園「新春の宴」に行ってきました。
目的は、雑踊で一番好きな「加那ヨー天川」。
池の畔で愛し合う男女を、番のオシドリで表現しています。
元は芝居小屋の幕間に一人で踊られていましたが、伊良波尹吉によって大正6年頃に男女の打組踊になりました。

琉球舞踊「加那ヨー天川」@首里城公園「新春の宴2022」

琉球舞踊「加那ヨー天川」@首里城公園「新春の宴2022」



首里城公園「新春の宴 2022」の地図
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